🐠~ソルトレーク産、販売中です🐠~ベトナム産、販売再開いたしました🐠~


ブラインシュリンプ(アルテミア)のふるさと

グレートソルトレーク(アメリカ合衆国ユタ州)


アメリカ合衆国とグレートソルトレークの位置

グレートソルトレークの地形


このページでは、ブラインシュリンプ(アルテミア)の産地であるグレートソルトレーク(アメリカ合衆国ユタ州)について説明しています。


1.雄大なグレートソルトレーク


ブラインシュリンプ(アルテミア)の産地であるグレートソルトレークは、アメリカ合衆国ユタ州に位置する「グレートベースン」という広大な盆地内にある塩湖で、面積は約4,400平方キロ(琵琶湖のおよそ7倍)と広大で、非常にユニークな生態系を有しています。グレートソルトレークの周辺にはワサッチ山脈・ユインタ山地の山々が連なります。グレートソルトレークにはそうした山々よりミネラル分・栄養分の高い水が注ぎ込みます。グレートソルトレークは内陸個(無口湖)で、湖に注ぎ込む水はどこにも流れず、蒸発によって水分が飛ぶので湖水の塩分・ミネラル分はとても高くなります。場所にもよりますが、低いところでも10%弱もの塩分濃度となり、魚や多くの水生生物は住むことができません。また、深さもかなり浅く、平均で5m~10m程度です。

 

グレートソルトレークは鉄道路線によって南北に分断されており、北湖には河川による水の流入がほぼないため南湖よりもさらに塩分濃度が高くなります。塩分濃度の違いによって生育する植物プランクトンや珪藻類が南湖とは異るため、上から見た湖面の色も違って見えます。北湖では豊富なミネラル分を原料にミネラル産業が発展しており、湖岸にはいくつものプラントが設置されています。


グレートソルトレークを東西に横切る鉄道。左側が北湖。


広大な塩平原(北湖の一部) 雪のように見えます


グレートソルトレークはアメリカの人々の憩いの場にもなっています。ユタ州はグレートソルトレークに州立公園をいくつか設置しています。多くのトレイルコースがあり、雄大な自然の中でのハイキングができ、現地では一番人気のレジャーです。ハイキングは真冬でも可能で、美しい雪景色を楽しめます。また、湖の南端に設置されたマリーナからはボートを楽しむことができます。アンテロープの州立公園では、アメリカで最大規模の野生バイソンの群れ(現地ではバッファローと呼ばれます)が暮らしており、車ですぐ近くまで近付くことができます。また、島内のレストランでは「バッファローバーガー」も食べられます。


アンテロープ島のバイソン①


アンテロープ島のバイソン② もちろん歩行者優先です


マリーナと夕焼けに染まるワサッチの連山



2.グレートソルトレークのブラインシュリンプ


グレートソルトレークのブラインシュリンプは野生(天然)で、主に湖の南部に繁殖しています。グレートソルトレークは塩分濃度が高く魚が住めないため、彼らの捕食者はほとんどいません(ほぼ唯一の捕食者は渡り鳥です)。また、えさとなる植物プランクトンや珪藻を取り合う相手もいません。このような環境ですので、ブラインシュリンプはえさのプランクトンを求めて、湖いっぱいに広がって繁殖・生息しています。


グレートソルトレークに群がる渡り鳥


ブラインシュリンプは繁殖を、主に両性生殖でおこないます(一部単性生殖もあります)。通常、メスの卵からすぐに幼生(ノープリウス)が生まれますが、耐久卵を作る場合もあります。この耐久卵はブラインシュリンプの生育環境が厳しくなってくると作られます。グレートソルトレークでは冬季の平均気温が氷点下となるほど冬が厳しく、ブラインシュリンプは冬になると死滅してしまいます。ところがこの耐久卵は、こうした厳しい環境に耐え、春になると再び孵化することができます。そして夏ごろには再び、大量のブラインシュリンプが湖にひろがります。


湖面に拡がるブラインシュリンプの耐久卵


ブラインシュリンプ耐久卵の収穫作業①


ブラインシュリンプ耐久卵の収穫作業②


ブラインシュリンプ耐久卵の収穫作業③


ブラインシュリンプを収穫する船(ステンレス製)を吊り上げているところ



ブラインシュリンプの耐久卵(ブラインシュリンプエッグス、あるいはアルテミアシストと呼ばれます)は乾燥にも耐えることができ、必要な時に必要な分だけ孵化させて使うことが可能ですので、幅広い用途で利用されています。水産養殖や熱帯魚・観賞魚用のえさとしてはもちろん、生物学や医学の研究における指標動物として使われるほか、毒物耐性試験・食品試験等における実験動物としても利用されています。また、ブラインシュリンプ自体もユニークでかわいらしい見た目をしているため、ペットとして飼育される場合もあります。グレートソルトレークのブラインシュリンプ採集は1950年に始まり、豊富な産出量と先進的で大規模な生産体制の確立によって品質が安定していることから、グレートソルトレークのブラインシュリンプは世界中に供給され、多くの人々に愛用されています。


成体のブラインシュリンプ


実験室で使用されるブラインシュリンプ


グレートソルトレークでは上述した貴重な自然環境・生態系を守るため、そしてブラインシュリンプ産業をはじめとした関連産業の持続可能性(サスティナビリティ)を確保するため、ユタ州政府のほかグレートソルトレークや隣接するソルトレークシティに関わりのある多くの団体や人々の努力によって、日頃から湖面の水質調査や資源管理が行われています。

ブラインシュリンプの生育状況も厳密に管理されており、耐久卵の収穫ができるのは10月から翌年1月までの期間のみと定められています。ブラインシュリンプは、周辺自然環境の影響を大きく受けます。ブラインシュリンプの数が減りすぎていないか、あるいは増えすぎていないか、湖の塩分濃度や水位、湖周辺の気象環境はどうかなど、安定供給のためには日頃から状況をこまめに確認しなければなりません。ブラインシュリンプの売上の一部は、こうしたグレートソルトレークの全体的な保全活動に使われています。

自然豊かで雄大なグレートソルトレークとそこに住むブラインシュリンプは、これからも私たちの生活を様々な場面を通して支えてくれることでしょう。


夜明けのグレートソルトレーク